Beyond Borders
(国境を越えてつながる)

海外の国々からも
求められる、
鑑定人の責任と精度。

プロジェクト

精密に世界をつなぐ!

海外企業案件でのエピソード

アサダ

アサダ2007年入社

世界の国々を経由して輸送された商品に思わぬ事故が発生。そんなときに活躍するのが海外企業案件を担当する鑑定人です。現場は日本国内のケースが多いですが、その先でつながっているのは世界中の企業や人々。今回は海外企業案件に携わるスペシャリストに、実際の案件の内容や国際資格取得へのプロセスについて詳しくお話を伺いました。

まず、海外企業案件とはどのようなものなのですか?

写真はイメージです

国境を越えて発生する保険事故に対応する仕事です。例えば、日系企業が関わる海外での事故や海外企業が関わる日本での事故など、国と国との間で財物が移動する中で起きるケースを扱います。どちらかというと後者のパターンのほうが多いですね。

実際の案件は、どのようなルートから受託することが多いのでしょうか?

そうですね。一番多いのは「vrsアジャスターというグローバルネットワーク」を通じたパターンです。例えば、欧州にも鑑定会社があり、現地の保険会社から運送会社の事故について依頼を受けます。日本に貨物を載せたコンテナが輸送されてきて、横浜で下ろし、目的地まで運んでいく。目的地で倉庫に入れようと思って開けたら、中身がぐちゃぐちゃになっていて事故が起きていることに気付く。欧州から鑑定人が調査に来るのは現実的ではないので、vrsを通じて提携している内山鑑定が代わりに調査に行く、という形です。つまり、通常受けている保険会社からの直接発注とは少し流れが違います。提携先を通じてさかのぼれば保険会社からの依頼ではありますが、直接はタッチしていません。

※世界各国の鑑定会社が加盟する国際的なネットワーク。各国の鑑定会社が相互に連携し、海外で発生した保険事故の調査・鑑定をスムーズに行うための仕組みです。内山鑑定も日本の加盟会社として、海外企業からの依頼に対応しています。

所属されているグローバルチームの構成について教えてください。

はい。総勢16名の鑑定人が参加している組織横断的なグループです。グローバルチームは所属を超えて活動するチームで、海外案件に積極的に取り組みたい、または英語を活かしたいという社員が集まって対応しています。案件によっては私ではなく、チーム内で対応可能なメンバーが担当します。場所によっても担当者が変わります。関東近辺で起きれば東京本部や横浜支店などの関東方面の鑑定人が動きますし、大阪で事故があれば関西周辺を拠点とした鑑定人が対応するという形です。

北関東の案件が印象的だったとお伺いしました。

はい、非常に印象深い案件でした。まず、欧州の保険会社が提携先のvrsに依頼しました。製品が日本に来て開けてみたら壊れていたので調査してほしいと。英語でメールのやり取りを重ね、関係者と日程調整して現場に行きました。

そのときは、どちらにいらしたんですか?

写真はイメージです

当時私は静岡支店にいたので、アポイントが決まったら静岡支店から東京を経由し、レンタカーで北関東の倉庫まで行きました。季節は夏で、倉庫のなかにはエアコンもなく蒸し暑かったですね。

写真はイメージです

具体的には、何が壊れていたのですか?

自動車に搭載されるセンサーです。約100個以上あるパレットに1m四方のダンボールが積まれており、その1部がフォークリフトの爪で破損していました。ダンボールの中には小箱が約30箱梱包されており、全体で約5,000の小箱がありました。小箱の中には部品が梱包されていて、損傷した部品の数は約70,000個にも及んでいました。すべての小箱を開けたわけではありませんが、パレットはすべて開封し、確認が必要な小箱や部品は丁寧にチェック。写真撮影や照合作業をひたすら繰り返しました。通常の立会いは1時間程度で済むものが多いですが、この案件は3〜4時間かかりました。グローバルチームから若手も連れて行き、2人で灼熱の倉庫のなかで調査しました。

※荷物をまとめて運搬・保管する荷台

調査後はどうされたのですか?

状態の確認だけでなく、なぜ事故が起きたのかという原因も確認する必要があります。ただ、倉庫の人たちも「着いたらこうだった」という情報しか持っていなかったので、後からドイツの輸送会社(契約者様)からの考察レポートなども資料として受け取りました。それらをもとに、どういうことで起きたのかという原因と損害状況をまとめたレポートを作成して送りました。

一筋縄ではいかない、と思う瞬間はありましたか?

見た目は同じ、見分けがつくのはラベルだけ。そういう製品がたくさんありました。ですので、事前にもらったリストと紐付けしていき、最初に聞いていた損害の数量と現品の数が本当に一致しているのかをきちんと確認していきました。当たり前のことを当たり前にやる、正確にやることがいちばん重要だと改めて気付かされました。これは海外企業案件だからということではなく、鑑定人としての基本的な心構えと言ってもいいかもしれません。また、この案件は1つの依頼の中に27件の事故が含まれるという特殊なケースでした。通常は1つの事故を調査しますが、この案件は過去1年分くらいの事故をまとめて調査するよう依頼されました。そのため、27本のレポートを書くことになり、どこからどこまでがひとつ目の事故で、次はどの事故か、というのをきちんと整理する必要がありました。それがいちばん大変でしたね。

写真はイメージです

海外の損害鑑定業界団体アイクラの鑑定資格をお持ちと伺いました。

はい。アイクラは、オーストラリアや東南アジアを中心に活動する損害鑑定業界団体損保協会で、鑑定人の専門資格を発行しています。資格は段階があり、私はアソシエイトというランクにあたります。これは公認損害鑑定人(Chartered Loss Adjuster)と呼ばれるもので、日本国内では現在3人しか取得していない、非常に専門性の高い資格です。各国ではポピュラーな資格ですが、日本や韓国、中国などの極東エリアは保険業界のなかでも少し異質な部分があり、日本ではほとんど知られていません。また、免許ではないので、持っていないと仕事ができないというわけではありません。

取得へのプロセスについて教えてください。

9単元に合格する必要がありますが、受験を考えたのが2023年12月で最初の試験を受けたのが2024年3月頃でした。その時点で2024年12月までの受験スケジュールや勉強量の計画を約1年分立てました。計画を立てることが大切ですね。また、自分の性格を知った上で、自分を追い込む工夫もしました。例えば会社に稟議書を出して費用を負担してもらうことで、途中でやめられない状況に自分を置きました。自分の性格を知った上で、そういう風に仕向けたというのはありますね。

※社内で費用や企画などの承認を得るために提出する申請書。

社内で最速で鑑定人の1級試験に合格されたと伺いました。資格取得のコツは?

私は自分が決めたことを守らないと気持ち悪いと感じる性格なので、計画通りに実行することで達成できました。これは全員が真似できるわけではないかもしれませんが、計画性と一定の勉強量は必要だと思います。計画的に長期間取り組むのが難しければ、短期集中型でやるなど、自分に合ったやり方で取り組むのがいいと思います。

最後に。英語を活かして働きたいという就活生へメッセージはありますか?

英語が得意な人にはどんどん来てもらいたいです。正直、私と入れ替わってグローバルチームを率いてもらいたいくらいです(笑)。私はいま英語への苦手意識はないですが、それほど得意ではないなかで仕事をしています。ネイティブレベルであればそのストレスも全然ないと思うので担当してもらえたらうれしいです。英語が得意な人も積極的に学んでいきたい人も、内山鑑定で待っています。

世界とつながる仕事であっても、
正確さと粘り強さが大切であると感じさせられました。
貴重なお話、ありがとうございました。

  • #1冷静さという鑑定道具

  • #2デジタルの損害に
    人のチカラ

  • #4

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